7月の季語は?俳句や時候の挨拶、手紙の書き出し・結びの文例を紹介
7月の季語は?
7月は、梅雨の終わりと共に生い茂る緑がより鮮やかになり、夏の暑さの中にも心地よい爽快感が漂う季節です。
この時期には、特有の風情や情緒を伝える「7月の季語」が多数存在します。
それでは、これらの季語を通じて、7月の日本の自然や文化の豊かさを深掘りしていきましょう。
文月・七夕・土用鰻・蝉時雨・スコール・朝顔・向日葵・風鈴・すいか・山開き・海開き・夏休み・高校野球・打水・青葉・半夏生・グラジオラス・夕顔・青田波・ほおずき市・睡蓮・金魚・祇園祭・博多山笠
詳しくご紹介していきます↓↓↓
文月(ふみづき)
文月、またはふみづきは、7月を指す日本古来の呼び名です。この月は、夜風に文(ふみ)とも解される書物を晒すという、雅な風習に由来しており、夏の暑さを和らげる知的な楽しみ方を象徴しています。また、7月7日の七夕に詩歌を献ずる風習もあったとされ、文化的な行事と深く結びついています。この伝統を讃え、郵政省は7月23日を「ふみの日」と定め、特別な記念切手の発行や手紙を通じたコミュニケーションの普及に努めるキャンペーンを行っています。この取り組みは、手紙の魅力を再発見し、人々の心をつなぐ文化の継承に寄与しています。
七夕(たなばた)
七夕は、中国から伝わった星にまつわる古い行事で、日本の五節句の一つに数えられます。この日、人々は短冊に願い事を書き、それを笹の葉に飾ることで、織姫と彦星の年に一度の逢瀬を祝います。特に、7月7日前後には、夜空で織姫を象徴すること座、彦星を表すわし座、そして夏の訪れを告げるはくちょう座の三つの星が、このロマンチックな物語を彩ります。これらの星座は、古代から夏の夜空を美しく飾り、人々に夢と希望を与えてきました。
土用鰻(どよううなぎ)
土用鰻の習慣は、夏の土用の期間に鰻を食べる日本独特の風習です。五行思想に基づき、この時期には土をいじることが忌み嫌われる一方で、鰻を食べることが体力回復や夏バテ防止に良いとされてきました。2018年の夏の土用期間は7月20日から8月6日までと定められ、この期間中に鰻を食することは、暑さに負けないための知恵として受け継がれています。自然哲学の考えに基づき、季節の変わり目にあたる土用には、特にこの風習が重視されます。
蝉時雨(せみしぐれ)
梅雨が明けると同時に、蝉の鳴き声が日本の夏の風物詩として広がります。この一斉に鳴き始め、突然止む蝉の声は、夏の急な雨を思わせ、「蝉時雨」と呼ばれるようになりました。東日本ではアブラ蝉、西日本ではクマ蝉がそれぞれの地域で夏の主役となり、彼らの声が本格的な夏の到来を告げるのです。蝉の生命力と夏の暑さが織りなすこの自然のシンフォニーは、夏の風情を深く感じさせます。
雷(かみなり)
雷の発生は、雲内で氷の粒が衝突し、静電気が蓄積することによって起こるとされていますが、その詳細なメカニズムは今なお完全には解明されていません。季節によって春雷、夏の雷、秋の稲妻、冬雷として表現される雷は、各季節の特徴的な天候現象として認識されています。特に北陸地方では冬雷がよく知られ、「鰤起こし」や「雪雷」とも呼ばれるなど、地域によって異なる名前や伝承が存在します。雷は、自然の力と美しさを感じさせる現象であり、季節の変化を体感させる大切な要素の一つです。
スコール
現代の気候変動は、季節の風物詩にも新たな変化をもたらしています。特に、温暖化の影響で、日本の気象にも変化が見られ、「スコール」や「猛暑日」「爆弾低気圧」「ゲリラ豪雨」など、従来の季語では表現されなかった熱帯性の気象現象が俳句に取り入れられ始めています。これらは一時的かつ局地的に極端な天候をもたらし、日本の梅雨や夏の風情に新たな表現を加えているのです。スコールのような急な豪雨は、その瞬間的な激しさと美しさで、夏の風景を一変させる力を持っています。
朝顔(あさがお)
朝顔は、夏を彩る代表的な花であり、その青や紫の繊細な花びらは、早朝の清々しい空気の中で一層際立ちます。全国で開かれる朝顔市の中でも、東京の入谷朝顔市は特に有名で、多くの人々がこの美しい花を求めて訪れます。中国では古来、朝顔の種子が貴重な薬用とされ、「牽牛」と呼ばれるほどの価値がありました。今日でもその種子は、漢方薬として下痢止めや利尿効果があるとされ、古来からの知恵が現代に受け継がれています。
向日葵(ひまわり)
向日葵は夏の象徴的な花であり、太陽を追うその姿から「日回り」とも称されます。広大な向日葵畑は、夏の風物詩として人々を魅了し、黄色い花の迷路を歩くことは、夏の楽しいアクティビティとなっています。向日葵の種子は、鑑賞用だけでなく、健康食品としても注目されており、お茶や油の原料としても広く利用されています。その栄養価の高さと多用途性は、向日葵がただの美しい花以上の価値を持つことを示しています。
風鈴
夏の風物詩として欠かせない風鈴は、その涼やかな音色で暑い夏の日に清涼感を提供してくれます。全国各地で開催される風鈴まつりは、夏の訪れを感じさせる特別なイベントであり、特に川越氷川神社の「縁結び風鈴」、西新井薬師の風鈴祭り、川崎大師の風鈴市などは多くの訪問者で賑わいます。これらの風鈴は、見た目の美しさだけでなく、その音色によっても人々に心の安らぎを与え、夏の暑さを忘れさせてくれるのです。
すいか
夏になると欠かせないのが、水分たっぷりのすいかです。球形や楕円形をしたこの果物は、縦の黒い縞が特徴的で、その果肉は赤色や黄色が一般的です。特に冷やしたすいかは、甘みとジューシーさが増し、夏の暑さを快く和らげてくれます。井戸水で冷やしたり、流水にさらしたりして食べると、その爽快感は格別で、夏の楽しみの一つとなっています。
7月の季語を使った俳句は?
7月になると、日本は本格的な夏の装いを見せ始めます。この時期の俳句には、古来より伝わる季語もあれば、時代と共に新しく生まれた季語も存在します。
俳句という形式の中で、自由な発想と豊かな感性を表現することで、夏の深みや魅力を探求してみましょう。
「七夕(たなばた)」
かつて、七夕は夏の暑さがほんの少し和らぎ、秋の気配が始まる時期として意識されていました。芭蕉の「七夕や秋を定むる夜のはじめ」という句は、七夕の夜が秋への移り変わりを告げる瞬間として描かれています。旧暦の7月に当たるこの時期は、現在のグレゴリオ暦では8月初旬に相当し、空の澄み切った夜には天の川や織姫と彦星の姿もはっきりと見える、そんな星空の美しさを伝えます。この季節の移ろいを捉えた俳句は、夏から秋への移り変わりの微妙な情景を浮かび上がらせます。
「団扇(うちわ)」
島田たゞ緒の俳句「中入りや団扇の載りし小座布団」は、夏場所の相撲観戦を題材にしています。この句からは、暑さの中で熱くなる観客の声援と、相撲会場特有の熱気が感じられます。中入りとは、十両の最後の取組みが終わった後に宣言される休憩時間を指し、その間、観客は一息つくために団扇を小座布団に置いて休む姿が想像されます。この俳句は、夏の風物詩である団扇がもたらすひとときの涼やかさや、相撲観戦の楽しみを伝えています。
「祇園祭(ぎおんまつり)」
正岡子規の「祇園会や二階に顔のうづ高き」は、京都の夏を代表する祇園祭を詠んだものです。7月17日から24日にかけて八坂神社で行われるこの祭りでは、壮麗な山鉾が市街を巡行します。この句では、お囃子の音色や、山鉾に飾られた豪華な装飾、そして人々の喧騒が色濃く描かれています。二階建ての家々から山鉾を眺める人々の姿が、この祭りの賑わいや、京都の夏の風情を象徴しています。祇園祭の熱気とともに、京都の街が夏の祭典で一層鮮やかに彩られる様子が伝わってきます。
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